洋上風力発電と従来の風力発電の違い

風力発電は以前から存在している発電方法の1つですが、近頃は海の上に設備を設置する洋上風力の注目度が高まっています。
日本でも千葉県や北九州、長崎などの地域で実証実験が行われており、2021年度に終了する実証実験があることからも、より多くの人が注目するようになっていることを知っておくと良いです。
しかしながら、従来の風力を利用した方法と比べて、どういったメリットがあるのか詳しく理解できていない人は非常に多いと言えます。
洋上風力のことをより深く理解するためにも、従来の風を利用した方法とどのような違いがあるのか知ることから始めてみると良いでしょう。

従来からある陸上に設置する風力発電

洋上に設置するタイプが登場する前から、陸上に設置する風力発電がありました。
風という再生可能エネルギーを使用しており、化石燃料を使用しないことや二酸化炭素を排出しないこと、他の再生可能エネルギーを使用した発電よりも効率的に電力が得られるという特徴があります。
優れた発電方法の1つではありましたが、十分な電力を生み出すためにはたくさんの設備を設置する必要がありました。
日本は国土面積が狭いため、陸上に大きなブレードを有する設備を大量に用意することは困難です。
そのため、素晴らしい発電方法でありながら、十分に導入されていないという状況がありました。

後から誕生した洋上風力の特徴

一方で、後から誕生した洋上風力は海の上に設置することができます。
従来の方法と同様に再生可能である風を使っていること、他の再生可能エネルギーよりも効率的に発電できることは同じですが、陸上タイプよりも大量に設置しやすいというメリットが増えたのです。
最初に登場した着床式のものは浅瀬が少ない日本では採用が難しいとされていましたが、後から登場した浮体式のものは海の上に浮かせた浮体構造物を海底に固定すれば深い場所でも用いることができ、深い海が多い日本でもこの方法であれば採用できるだろうと考えられるようになりました。
日本は国土面積は狭いですが、世界でも広い排他的経済水域を持っている国であり、海を有効に利用すれば今まで以上に再生可能エネルギーによる発電設備を増やせることが予測できます。

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従来の風力発電よりも効率的な電力生産を期待できる

洋上風力を導入することには、従来の風力発電よりも効率的な電力生産を期待することができることも理解しておくべきです。
陸上と海の上では海の上のほうが風を受けやすいので、陸上に設置した場合よりも羽根の回転数やスピードを上げられる可能性が高いと言えます。
海に足を運んだときに潮風を感じたことがある人は多いはずですが、海とそれ以外の場所では風が吹く量や強さに大きな違いがあることを理解しておくべきです。
あまり風が吹かないという問題は海の上では起こりづらいので、陸上に設置している場合よりも更に効率の良い発電を期待することができます。

洋上風力のメリット

海洋上に設置するものは、陸上に設置していた場合に起こっていた問題が回避できるというメリットがあることも知っておきましょう。
陸上に建設するときには近隣に住む人からうるさいと指摘されることが多かったと言えます。
ある程度の距離があったとしても、稼働中にブレードが回る音が気になるという人が多く、設備の撤去を求める声が生じる地域もあったほどです。
景観についても指摘する人が多く、大きな羽根を持つ設備がそびえ立つことで、そのエリアの景色が悪くなってしまう、本来の景観を損ねていると問題視されることも多いと言えます。
海の上に設置するのであれば人が生活する場所と遠いので騒音問題が起こりづらいですし、陸から離れた場所に設置するので景観についてクレームが出る可能性も低いです。

洋上風力ならではの課題も存在する

ただし、洋上風力ならではの課題が存在することも忘れてはいけません。
浮体構造物や固定するための道具を設置すれば、海の中にいる生き物に影響が出る可能性がありますし、海上で回る羽根が渡り鳥に影響を与える恐れもあります。
海の生き物や鳥に悪い影響が出ることがないか調査が必要であり、いざというときのために対策を用意しておく必要もあると言えるでしょう。
コストが大きいことも問題であり、本格的に導入するためにはコストを下げることが重要となってきます。
実証実験が進められている段階ですが、今後は実験の結果を踏まえながら課題を解決していく必要もあるでしょう。

まとめ

洋上風力は従来の風力発電に加えて、いくつかのメリットが増えた発電方法だと考えることができます。
まだ解決しなければならない課題があることは事実ですが、従来のものより大規模な運営を実現しやすい、効率の良い発電を実施しやすい、周囲に住む人からの不満が出にくいなどメリットが多いです。
今後はより注目度が高まる発電方法だと言えるので、こまめに情報をチェックしておくことがおすすめだと言えます。
特に2021年度は実証実験が終了するので、大きな動きが見られる可能性が高く、最新情報をゲットするために動向を定期的に確認しておくと良いでしょう。